私が愛読していたbloggerがベトナムを離れる

私が一番愛読していたベトナム関連のblogは、ホーチミン社会科学人文大学の客員教授をされている小林貞一郎さんの「ベトナムニュース」でした。
http://plaza.rakuten.co.jp/vietnamnews/

小林さんがついにベトナムを離れるそうです。

小林さんの最後のエントリーを無断転載させて頂きます。

法律の変更でビザの取得方法が変わり、私は16年近く経た今になって様々な書類の提出を求められました。大学の卒業証明書、犯罪を犯していない証明書など、取得がとても面倒な書類です。私はベトナムを助けるために
ここに居るのであり、ベトナム政府に頼んで居させて貰う必要はありません。長年ベトナムを助けてきたのに、何が犯罪を犯していない証明書だと言う憤りの気持ちがあり、ベトナムから出て行く事を決めました。長い間の
ベトナムの生活で、私が考えた事や体験した事を書きます。(訳者注:ベトナム出国を決めた後で、犯罪を犯していない証明書は必要ないと告げられた。)

 *私は還暦を過ぎところですが、私の年代の日本人は皆ベトナムに大きな関心があります。大学生時代にはベトナム戦争が続き、『べ平連』などと言う団体がアメリカに反対する大規模な政治活動を行い、新聞には連日ベ
トナム戦争の記事が掲載されました。多くの日本人はベトナムに同情し、アメリカ帝国主義専制を非難しました。最終的にはアメリカがベトナムから撤退し、ベトナムは勝利を得ました。その事から日本人の間に『ベトナ
ム人は勤勉で、手先が器用で、識字率が高い』などと言う通説が生まれました。

 

1990年頃から日本の企業は大々的にベトナムに進出しましたが、現地に駐在した日本企業の責任者は、この通説がいかに誤りであったかを身をもって知らされました。『勉強熱心』=興味を持つだけで学習はしない。『手先が器用だ』=手作業ができるだけで新しい技術は習得できない。『人懐こい』=そして何でも他人に頼る。『無邪気だ』=物事の本質を知らない。『おおらかだ』=責任を持たない。『温厚で優しい』=利害が絡むと一変する。『世話好きだ』=やらなくても良い事をやり、やるべき事をしない。

 ベトナム人は、『報告する』『連絡する』『相談する』は全然しない。何でも独断で行う。しかもその独断が自己中心だから、時にはとんでもない事をやらかす。特に『計画を作って皆で協力する』事は全然できない。一
言で言えば、ベトナム人は犬や猫と同じである。しかし私にとって、その犬や猫がとても可愛い。ベトナム人を相手にしていると、生活のレベルは低いがストレスは全然ない。私はいつもお山の大将で、大学生を相手に生活
を楽しんできた。ベトナムの大学の授業など、勉強ではなくて子供のお遊びである。ベトナムの大学生の実力は、中国の大学生より大幅に劣る。しかし日本の秋葉原で起きた殺人事件などを知ると、一部の日本人は犬や猫に
も劣る畜生だと感じる。

 ベトナム原油も石炭もあり、広い水田に種を撒くだけで大量の米が生産できる。山には野生の果物が自生し、池や川には沢山の魚がおり、それを取れば働かなくても生きていける。自然の条件は、日本などより各段に良
い。生活のレベルは低くても、義務や責任など全然考えないで生きているベトナム人は、それなりに幸せな人々である。

 しかし外国から進出した企業の経営者にとっては、事情が全く異なる。本社からノルマを言い渡され、何としても計画通りに作業を進めなければならない。犬や猫のような労働者を相手に、実績を上げるのは至難の技であ
る。頻繁に遅刻し無断欠勤する労働者を訓練し、生産ラインで使いこなすのは、犬や猫を訓練するのと同じくらい難しい。月給が1万円未満の労働者を、日本人の様に働かせようと考えるのが間違いである。

この最後のエントリ、本当にベトナムのことを的確に表していると感じます。
これに付け加えれば「ベトナム人はそれでも、自身を世界一優秀な民族であると心底信じている」ということでしょうか。



小林さん、お疲れ様でした。
これから小林さんのblogが読めなくなるのは残念です。

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