虹有社 売上金全額を筆者に寄付する

  
  
虹有社という出版社が、報道写真家の久保田弘信さんの「僕が見たアフガスタン Afghan Blue」の売上金全額(最大500冊分)を久保田さんに寄付するという。
http://www.kohyusha.co.jp/books/afghandonation.html

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弊社は『僕が見たアフガニスタン』の売上金全額(最大500冊分)を、報道写真家 久保田弘信氏に寄付します。
これは、久保田氏の友人であり、アフガニスタン拉致監禁されているジャーナリスト常岡浩介さんの解放に向けた、久保田氏の活動を支援するためのものです。
株式会社 虹有社
社員一同

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久保田さんのblogはこちら。
http://kubotahironobu.blog53.fc2.com/

私は久保田さんを知らない。
しかし、Shamil同志(常岡浩介さん)の一件で知ることが出来た。
それ以来、久保田さんのblogは毎日読んでいる。


日本にいると、海外の情報はマスコミや一部のジャーナリストが勝手に取捨選択したことしか知ることが出来ない。
それは「一側面的」な情報にしか過ぎない。
日本にはCNNやBBCのような、まともなマスコミやジャーナリストは皆無だ。
こんな当たり前のことも、日本にいる時にはわからなかった。
今でも日本の多くの人が「タリバーンは危険だ」とか「ミャンマービルマ)は軍事政権で怖い」「タイは微笑みの国だ。タイ人は権力闘争や争いごとが嫌いだ」という認識だと思う。
私自身も以前はそう思っていた。
(「ベトナム人は日本人と似ている思想で、かつ勤勉だ」という情報もそうだが(笑))
すべて、情報が取捨選択された結果だ。


一方、インターネットが広まった今、このようなマスコミやジャーナリストが本当に必要なのか?という議論も広がっている。
Twitterなど、そのいい例だ。
モバイルだろうがなんだろうが、ネットに繋がってしまえば、ネットに繋がっている人と自由にコミュニケーションが取れる。
その場所で事件や事故が起これば、それが即座に「情報」としてネットを駆け回る。
マスコミや一部のジャーナリストが取捨選択する前に。

活字離れが騒がれて、もうかなり長い時間が経つ。
くだらない番組を公共電波を使って垂れ流しているマスコミが我が物顔で支配している。
しかし、日本のマスコミでは取り上げられない海外の情報が活字や写真として数多く出版されている。
残念ながら、日の目を見ることがないジャーナリストの活動の結果もある。
また、活字や写真として出版されても、活字離れゆえか、それが人の目の前に露出する機会が少ない。

しかし、そんな情報(ジャーナリストの活動の結果)の中には、非常に情熱的なものがある。
(情熱的でないとそんな取材や調査はできないのだろうし、商業ベースだったら絶対に対象にもしないのだろう)
そんな情熱的なものに触れると、とても嬉しくなる(内容が悲しいものであっても)。
商業ベースでは出来ない、ましてや私自身では到底不可能であることをやっている。
椎名誠のように、うま〜く商業ベースに乗せることが出来る作家もいる。これも才能だと思う)

日本を出てここ数年、なぜかそのような情熱的な作家やジャーナリストを知ること出来ている。
ここ数年、ミャンマー関係や中央アジア方面でいえば、高野秀行であったり、吉田敏浩であったり、瀬川正仁であったり、常岡浩介であったり、久保田弘信だ。
もちろん、私は思想や宗教として共感しているわけではない。
あくまでも「ジャーナリズム」として「スゴイ!」と感動しているだけだ。
「へ〜、こんなことになっているんだ〜」「今までぜんぜん知らなかった」「今までこんな報道、日本では目にしたことないじゃん」という非常に単純な感動である(笑)。


日本のマスコミは「バカコミ」といわれてもしょうがない。
なんであんなクダラナイ番組しか作らないのだろうか?
なんでもっとマトモにジャーナリズム精神でいられないのだろうか?
だから、私は日本に一時帰国しても、めったにテレビの電源をいれることはない。
ほとんどの時間がくだらないバラエティ番組が流れている。
何も知らない無教養なタレントがコメントしている。
日本の外から眺めていると、頭を抱えたくなる、「これが日本なのか」と。
でも、これが母国日本であることは間違いない。


マスコミや一部のジャーナリストによる情報の取捨選択が「悪い」とは言わない。
全ての情報を完全に報道するなんてことは、所詮不可能だ。
しかし、「バランス」であったり「情報の深さ」というものがあってもいい。
それが「情報の質」というものではないだろうか。
今の日本のマスコミやジャーナリズムには、このことが欠けていると感じる。



話が脱線してしまったが、虹有社の今回の取り組みには拍手を送りたい。

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