総選挙の行方と雑感

タクシン政権が崩壊したあと、初めての総選挙が23日に行われます。
すでに不在者投票は行われていて、現在、投票用紙は警察に保管されているそうです。
http://www.go2bkk.com/index.php?ID=1311
Ban-Bang-Bangkokの大川さんも書かれていますが、タイは警察が一番危なくて怪しい(笑)。

この不在投票の時に、とある町では「不在者投票に行けば、お金がもらえる」という噂がたって、かなりの国民が投票所に行ったとか。
当然ですが、お金なんかもらえないので人悶着あったようです。
なんともタイらしいネタです。


さて、タイは選挙の前日から禁酒となり、スーパーやコンビニ、飲食店ではお酒の販売や供出が出来ません。
一部の歓楽街では「平常どおり営業」としているところもあるようですが、この期間にタイへ旅行される方は、要注意。
そういえば、タイ在住時代に、選挙の前日にタニヤなどの歓楽街がどのようになっているか興味本位で見に行きましたが、見事にガラガラ(お店が閉まっているので、タニヤ通りに人がほとんどいない)、お店が閉まっているために個人営業をしている姿があったのを思い出しました。


で、選挙の行方。

タクシン政権がクーデターによって崩壊したのは、いわば、ある意味、自浄作用だったと、私は考えています。
私利私欲と国益を混在させてしまったわけですから。
ただ、タクシンの成果もそれなりに認めるべき部分があるのも事実です。
いま、思うと、タクシンの政策って、批判は多いもののなんだかんだ言っても「タイ人気質」に合致していたように思います。(日本人からみれば、タイの政治はとんでもないところが非常に多いですが)。

そして、タクシン政権を倒した現政権。
これがどーも、あまり評判が良くない。
タクシン批判、タクシン否定、クーデターの正当化が根底にあるためか、タクシン政策の良いものも悪い物も全てを否定しているような感じです。

実際にタイの成長率は鈍化。
ベトナム10%近い経済成長、フィリピンやインドネシアも6%以上の経済成長をする中、タイは4%。ASEAN主要6カ国の中でも最下位。
現政権は経済成長にブレーキをかける政策を取っています。
これがどうも国民のウケが良くないようです。
現政権は暴走した経済成長政策→地方格差→地方に現金ばら撒き政策というタクシンの政策を否定したかったのでしょう。
そして、現政権は外資企業への締め付け強化を目的とした外国人事業法の改正(外資系企業から見れば改悪)ということも始めようとしています。
外資系企業誘致含め、イケイケドンドンだったタクシン政策から見れば、少なくとも外資系企業に不安を与えているのは事実です。
しかもタイの周辺諸国ベトナムの経済急成長、ラオスの今後の可能性(あるのか??(^^;;;)など、そろそろタイを出て行こうとする外資系企業もちらほらと出てくるかもしれません。

また、今回の選挙での各党の動きや政策を見ていると、どうも「タクシン政策」をコピーしているだけのところが多いです。
タクシン政権時代、反タクシン・反与党で野党第一党だった民主党ですら、なにやらタクシン政策みたいなことを言っています。

一方、タクシンは外地から「既に政権を取ることに興味は無いが、第三者の立場で政策コンサルタントを頼まれればやる」みたいなことを言っているようですし。

選挙も、すでに買収合戦が日々行われているようです。
これもタイの風物詩ですね。

タクシン政権崩壊後の初めての選挙。
その結果だけではなく、次政権が、タイという国をどのようにコントロールしていくのか、無責任ながら、「外」から眺めていきたいと思います。