携帯電話SIMカードの使用者個人情報登録の顛末

  
   
ベトナムでは1年以上前から政府が「プリペイドSIM使用者個人情報登録せい」を言っていましたが、ほとんど情報が得られない1年が続いていました。
MobiFoneやVinaPhoneにサービスセンターに電話しても、まったく対応してくれませんでした。

そしていよいよ「2009年7月1日までに登録しないと、登録していない番号を無効にする」とアナウンスがありました。

そこで、再度会社のスタッフに調べてもらいました。
ベトナム人の場合、使用者個人情報登録は、SMSで可能ですが、外国人はMobiFoneやVinaPhoneのブランチ、または国際郵便局にパスポートを持参して登録する必要があります。
また、MobiFoneの登録方法がMobiFoneのサイトに出ていたそうです。(英語メニューからはたどり着けず、ベトナム語メニューからはたどり着けるそうです。たどりついたら、そこで言語を「英語」に切り替えると英語での登録方法が表示されます)



この使用者登録をすべく、会社が休みの日曜日に実行してみました。

アパートのレセプションに一番近いMobiFoneのブランチを確認してもらいました
アパートのレセプションスタッフにMobiFone勤務の知人がいるそうで聞いてもらいました。
レセプションスタッフは、
「このブランチにパスポートを持って行けばいい。いま、タクシーを呼ぶわね」
といってくれましたが、今日は日曜日です。
「日曜日にやっているのか?」と聞くと、
「あ、それはわからない。そうね今日は日曜日ね」と。
「では、あなたの知人にもう一回聞いてくれ」と頼み、
結局、日曜日はそのブランチはお休みということがわかりました。
(こういうことが一度で出来ないのもベトナム人気質です)

そして「国際郵便局でも出来るらしいが、それも聞いてくれ」と頼み、
再度、その知人に電話をかけ
「日曜日でも国際郵便局で登録可能」
と教えてくれました。



うだる暑さの中、国際郵便局(ホアンキエム湖横、チャンティエンプラザ近く)へ向かいました。

国際郵便局の中にはいるとカウンターがあり、おばちゃんが二人。
まったく英語が通じません。
MobiFoneの使用者登録を説明しているサイトをプリントアウトしたものと、携帯番号とパスポートを提示しても、おばちゃんはベトナム語でわめくばかりで、さっぱりわかりません。
するともう一人のおばちゃんが、外を指差し、指で「右、右」とジェスチャーしました。


国際郵便局の外へ出て右へ進むと「VNPT(ベトナム電話公社)」のオフィスがありました。
MobiFoneもVNPTの子会社です。
VNPTのオフィスへ入ると、若い兄ちゃんが一人居たので、英語で話し掛けましたが、全く通じず。
しかし、携帯とパスポートとMobiFoneのサイトのコピーを見せると意味は理解してくれました。

ここで登録可能かと喜んだのもつかの間、彼はジェスチャーを含めて「VinaPhone、VinaPhone」と連呼しました。
なるほど、ここはVNPTでもVinaPhoneの登録しか出来ないようです。
そこで、今度は私が「MobiFoneオフィス」を連呼すると、彼はMobiFoneのオフィスの場所の住所を書いてくれて、「タクシータクシー」と言ってくれました。
意思疎通が出来たようで、彼は喜んでいました。



VNPTを出て、タクシーを掴まえ、彼の書いてくれた住所へ向かいました。
その住所を書いてもらった紙をなくしてしまったのですが、ホアンキエム湖から南下したところへたどり着きました。
間口数mですが、確かに「MobiFone」と看板が出ています。

ここで再度、先ほどと同じように携帯とパスポートと・・・を提示すると、やはり英語は通じず、そこにいた兄ちゃんは「NO、NO」を連呼するばかり。
こちらもジェスチャーで対応(笑)。

すると、この兄ちゃんは紙にまた住所を書いてくれました。
どうやらココへいけ、ということのようです。
その住所は「35 Quang Bruy」と書いてありました。
再度タクシーで向かいました。更に南下したところでした。



先ほどのMobiFoneのショップより更に小さく、シャッターが半分閉まりかかっていましたが、中のカウンターのPCの前に2人の兄ちゃんがいましたので、突入しました。
彼ら二人は、積上げられたMobiFoneの何かの申し込み用紙の書類をPCにインプットしていました。
彼らに携帯とパスポートを見せたのですが、英語が全く通じません。

これ以上の盥回しはカンベンしてほしいので、ここで、会社の私のスタッフに電話して、電話を通じて、スタッフに通訳を頼むことにしました。
電話を通じて、MobiFoneの兄ちゃんと私と何回かやり取りをしてわかったことは、

・彼らは私のプリペイドSIMもポストペイドSIMに切り替えようとしていると誤解していたこと。
 (山積みされていた書類は、ポストペイドSIMの申し込み用紙でした)
・つまり私は、そのような処理をしているブランチへ来ていること。
・ここではプリペイドSIMの使用者個人情報が登録できないこと。

というものでした。

そして、驚くことに、私が持っている3枚のSIMカードのうちの1枚が、すでに見ず知らずのベトナム人の名前で登録されていること、でした。
電話を通して、このやり取りをしていると、彼らはPCの画面を見せてくれました。
そこには確かに私のSIMの電話番号が表示されているのですが、そこにはベトナム人の名前や住所などが表示されていました。

考えられることは、ベトナム人が使用者登録をした際に、たぶん、MobiFoneが電話番号のインプットミスをしたのでしょう
そして電話の向こうのスタッフに再度通訳をお願いすると、MobiFoneの兄ちゃんは、

この番号はもう登録されているから、別にあなたの名前で再度登録する必要ないじゃん

と言っていました。

そりゃ、この私の番号になんらかの個人情報が登録されているわけですから、私の番号が無効になることはありません。
しかし、この番号に間違って登録されてしまったベトナム人が本当に使っている番号は無効になっちゃうわけで・・・。

いやはや、さすがベトナム
そんなことは一切お構いなしです。



で、結局、この日曜日に走り回ったあげく、使用者登録はできませんでした。
やっぱり疲れますベトナム


さて、そうなると平日に登録するしかありません。
会社を午後休暇にして、アパートのレセプションで聞いたMobiFoneのブランチへ行きました。
このブランチはホーチミン廟のちょっと南側にあるブランチでした。
日曜日に盥回しになったMobiFoneのブランチとはちょっと違い、とても綺麗なブランチでした。

このブランチには青いアオザイ姿の若いおねいちゃんがいました。

しかし、案の定、英語が全く通じず、読めず。
携帯3台(SIM3枚分)、パスポート、MobiFoneのサイトのコピーを見せると、使用者登録をしたいということを、このブランチのスタッフは理解してくれました。
しかし、3枚分登録するということが通じず、それどころか、スタッフはベトナム語で聞いてくるのですが、さっぱりわかりません。
ただ、「タイサオ」(Why)とか「バー(3) SIM」とか言っているので、どうして3枚もSIMを使っているのか、ということが聞きたいのでしょうか?
なので、これら全部私のだ、というジェスチャーと、それぞれの携帯から電話をかけて、SIMが3枚生きていることを説明しました。

ここまでやって、やっと登録用紙が出来きました。
若いアオザイ娘に、「これに書け」というジェスチャーでボールペンが放り投げられました。

しかしですね、この登録用紙、全部、ベトナム語なんですよ。
何処に何を書いていいのかさっぱりわかりません。固まってしまいました。

そして、その旨をゆっくりと英語で伝えたのですが、アオザイ娘は英語は分からなくとも、私がベトナム語がわからないことを理解してくれました。
しかし、アオザイ娘は英語が話せないのです。
このブランチにいたスタッフ4人が集まってきて、あーだ、こーだと話始めました。
アオザイムスメ含め4人とも英語が出来ないようで、相談しながらベトナム語に相当する英語を考えているのです。

すぐに出てきたのは「Name」。
申込書のある場所を指差し、「Name、Name」と皆が連呼します。

そしてここでまたガヤガヤと5人が相談を始めました。
登録するのは、名前、住所、パスポート番号などですから、英単語を話し合っている彼らに、私は、自分の住所とアパート名を口にしました。
すると彼らは「それだ、それだ!」という感じで、申し込み用紙のある個所を指して、「書け、書け」と。
どうやら「Address」という英単語が出てこなかったようです。

あとはパスポート番号と携帯番号を書くのみでした。
SIMは3枚ありましたが、1枚の申し込み用紙に3つの番号を書くだけすみました。

これでおしまい?。
しかし、ちゃんと登録されるかどうか不安なため、私はジェスチャで、「いま、ここで登録してよ」とやると、理解してくれたようで、PC端末を使い始めました。

すると、また4人が集まりだして「●×?!#$%&@+」と始まりだしました。
きっと、私の番号の1つにすでにベトナム人の登録がされていたのでしょう。
案の定、スタッフはPCを私に見せて、画面に表示されているベトナム人名と私を指さします。
私は「ちがうちがう。たぶん、ミステイクだ。私の名前にチェンジしてくれ」と身振りと英語で伝えたところ、どうやら意味がわかったようで、申し込み用紙に書いた情報を入力していきました。


そしてどうにか3枚分のSIMの登録が終わったようで、アオザイムスメは、「OK,OK」といい、「シッシッ」というジェスチャーをしました。
私は、こういうジェスチャーにもう「ムカッ」とはこなくなっていました。
だって、ここはベトナムですから。
非常識な態度や言葉に、すっかりと慣れている私です。


そしてこのブランチを出ました。
すると、アオザイムスメがすっとんできて私の腕を掴みます。
なんだなんだ?。ほれたか?(嘘)

彼女は「パスポート、パスポート」と叫びます。
そしてブランチの中へ連れ込まれました。
どうやら私のパスポートのコピーをとり忘れたようです。
コピーを取って、私は解放されました。


いやはや、使用者登録するのも大変でした。
でも一番不安なのは、私の3つの番号が、本当に登録されているかどうかです・・・。



数年前、タイでもプリペイドSIMの使用者個人情報登録が義務づけられましたが、果たしてあれは登録されたのでしょうか?
それよりも何も、いま、AISのカウンターでも街の携帯屋でも、パスポートの提示も使用者登録することもなく、プリペイドSIMを買うことができます。
あの義務化は、その後、実態の無いものになってしまったのでしょう。

ここベトナムでも同じ道を辿るというのは、容易に想像できますね。

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